シェルパ族とは?家や食事・服装は?ヒマラヤ登山の最強ガイド!シェルパ民族を知っていますか?シェルパ族はどこに住んでいるのか?食事や服装はどうしているのか?シェルパ族はヒマラヤ登山に欠かせない存在と言われているシェルパ族について、今回は徹底的にご紹介します!
目次
シェルパ族とは?ヒマラヤ登山に欠かせない存在!
[出典元]https://world-note.com
シェルパ族は主にヒマラヤ山脈に囲まれたネパール東部サガルマタ県ソルクンブ郡という場所で生活している少数民族のことをいいます。
少数民族であるシェルパ族は世界一の高い山であるエベレストを含む、ヒマラヤの山へ登山する際の荷物運びやガイドとして世界的に有名になりました。
シェルパ族が普段暮らしている場所は日本で言えば富士山8合目に相当する標高で、その優れた身体能力や登山技術を買われ、今やヒマラヤ登山にはなくてはならない重要な存在となっています。
いわば登山のプロである民族で、エベレスト登頂のニュースなどの陰には必ずシェルパ族の存在がいるのです。
ただ登るのさえ大変そうなエベレスト登山を荷物を持ったり、ガイドしながら登れるのは、祖先から高地の厳しい環境で暮らしていたため我々とは違った身体能力を持っているからなのでしょう!
「シェルパ」はシェルパ族以外も指す?
最近では単純に登山を補助してくれる存在をシェルパ族でなくても単純にシェルパと呼んだり、シェルパさんと呼んだりするようになりました。
そのため違う民族の人でもひとくくりにシェルパと呼ぶ場合があります。
またそこから派生して、会議などの補助・代理役のことをシェルパと呼ぶようにもなっています。
シェルパ族の人口は?
シェルパ族の人口はネパール国内に15万5000人程度。ネパール全体の0.5%ほどで、あまり多くありませんね。日本で言えばアイヌ民族のような存在です。
ちなみに全世界に散らばっているシェルパ族を合わせると28万人ほどになり、中にはニューヨーク(!)に住んでいるシェルパ族もいるといわれています。
シェルパ族の言語は?
彼らはチベット語の方言といえる、シェルパ語を話します。
また母国語であるネパール語や、商売相手である登山者たちの言語である英語に通じている人も多いです。
シェルパ族の山に対する信仰
[出典元]https://world-note.com
シェルパ族が信仰する宗教は輪廻転生などを信じるチベット仏教ですが、そこに現地のアニミズムが融合した、独自の信仰体系となっています。
アニミズムとは自然崇拝であるため、当然ヒマラヤ山脈もシェルパ族にとっては信仰の対象です。
そのためヒマラヤ登山ブームが始まる20世紀以前は登る能力があったにもかかわらず、あえて登ることはなかったそうです。
現在でもその信仰は忘れられている訳ではなく、山に対する敬意を払わなければ登山事故が起こると考えており、登山前には「プジャ」と呼ばれる儀式を行っています。
シェルパ族も食べるネパールの伝統料理「ダルバート」
[出典元]https://toyokeizai.net
シェルパ族が普段食べているのはダルバートと言われる定番料理。
ネパールでは毎日食べられており、日本でいう定食に当たる料理です。
豆スープと白米を中心にカレー味の野菜などのおかずや漬物などがそれについたセットで、シェルパたちにも栄養補給のためによく食べられています。
その他にも「シェルパシチュー」と呼ばれる日本のすいとんのようなものや、ジャガイモ料理もよく食べられています。
シェルパ族の民族衣装は?
シェルパ族は普段チベットの民族衣装でもある「チュバ」を着ています。
▼チュバ▼
[出典元]http://mangabutsuga.com/koko/
男性用は膝丈ぐらいまであり、腰を帯で締めた、日本の着物を短くしたようなものです。
女性用はくるぶしくらいまである丈長のもので、既婚女性は「パンデン」と呼ばれるエプロンのような前掛けをつけます。
▼パンデン▼
[出典元]http://picdeer.com
男性用・女性用どちらも布製と革製があり、チュバを重ね着したり、下にズボンを穿いたりと最近はいろいろアレンジしておしゃれに着こなしています。
シェルパ族のヒマラヤガイドの歴史
先ほども少し触れたように、もともとシェルパ族は山に登る民族ではありませんでした。
アニミズム信仰から山に大変な敬意を払っており、そこに足を踏み入れるのは恐れ多いと考えていたのです。
その意識が変わったのは20世紀に入り、山登りがレジャーやスポーツとして流行してからです。
ヒマラヤ山脈に登りたいと希望する人が海外から多くやってくるようになったのですが、その人たちはヒマラヤ山脈について実践的な知識は何もありません。
そこで頼りになったのが、地元のシェルパ族だったのです。
そこから登山ブームが起こるにつれてシェルパ族も商売としてガイドや宿泊施設を始めました。
かつては農業などで細々と暮らしていたシェルパ族ですが、現在では観光業を中心に生計を立てています。
エベレスト史上最悪の雪崩事故と浮き彫りになったシェルパの実態
登山産業で潤い、問題なく暮らしているかと思われたシェルパ族でしたが、ヒマラヤ登山がだんだんと大衆化するに従い、登山隊とシェルパのあいだで衝突が生まれる事件が多くなってきます。
そして2014年にエベレストにてシェルパが13人死亡、3人が行方不明となる雪崩事故が発生し、この事件を契機にシェルパの過酷な実態が世界に知られるようになります。
顧客のテントや食料など大荷物を持ち危険な斜面の先頭を進む過酷な仕事状況。
シェルパを奴隷扱いし、過去に口論や暴力沙汰になる事件まで発生していたのです。
これまでエベレストで亡くなった人は300人以上になりますが、そのほとんどがシェルパたち地元ガイドで、事故の保証も十分ではなかったなどの実態が次々に明らかになっていきました。
これを機にシェルパの地位向上を求める声が強くなっていきます。
現在では保証金が引き上げられるなど、状況は改善しつつあるそうで、良い方向に進むことが望まれています。